ノウハウ

ドローンの自動運転で何ができるのか?

DJIなどの大手ドローンメーカーが新機種を発表すると大きく注目されるのは「自動飛行」の性能です。

自動と聞くだけでかなり進化した技術に聞こえますが、実はモデルや用途によって出来ることに違いがあります。

今回は大きく一般向けドローンと産業用ドローンに分けて自動飛行の特徴をDJI製品を例にしてご紹介していこうと思います。

一般機のドローン

まずは触れる機会の多い一般機です。

趣味や業務の新しいツールとして用いられることが多いため、自動飛行の操作も簡単に設定されています。出来ることと注意点は以下の通りです。

①自動追尾
メーカーによりアクティブトラックやCineshotとも呼ばれており、人や自動車などをロックし追尾・撮影する機能です。
一定の距離を保って被写体を追い、障害物が近づいた際は自動で停止することもできますので初めてドローンに触れる方やまだ慣れていない方に人気の機能です。
機体の挙動は被写体の動きを再現するため、複雑すぎる動きは処理しきれず事故の原因となりますので極力控えましょう、
 
②クイックショット
こちらは主にDJI製品に搭載されている機能で、被写体をロックし決まった動きで撮影を行います。
一番わかりやすいのは「ドローニー」で、旅番組でよく見る「後ろに下がりながら高度を上げて景色は広がる」動画を全て自動で行なってくれます。

他にも直上に上昇する「ロケット」、斜めに円を描く不思議な動きを行う「ブーメラン」など多彩なパターンが用意されていますので、周辺環境に気を付ければワンタッチで高性能な撮影が可能です。

さらに撮影後は自動で開始地点まで帰ってきますので遠くに離れても安心です。
※クイックショットはGPS環境下のみで使用可能です。
 
③機種とアプリで出来ることが異なる
次は注意点です。
上記2点は近年発売された機体に共通で搭載されている機能で、どのモデルでも挙動はほぼ同じです。
しかし、機種とアプリによってはできることに差がありますので自分の用途にあったものを調べる必要があります。
 
例えばMavic2やPhantomをはじめとした旧世代の機体は「DJI GO4」アプリを使用しています。
このアプリは現行機にない自動飛行が用意されており、「ウェイポイント」と呼ばれます。
ウェイポイントはマップ上で経由ポイントを指定し、さらにポイントごとにカメラ角度や静止画・動画を切り替えながら着陸ポイントまで自動で移動するというものです。

GPS環境下のみで使用可能ですが、この「ミッション」と呼ばれる飛行ルートを保存しておくことができるため、工事進捗の撮影や季節ごとの景色の移り変わりをまったく同じ目線で撮影することが可能です。

対して現行のMavci3やDJI Air2Sで使用する「DJI Fly」アプリは、使いやすさ・シンプルさが重視されているためウェイポイントが搭載されていませんので、同じルートで飛ばすにはパイロットの技量が求められます。
 
用途やモデルによって一長一短ありますので、まずは自分がどんなことをしたいのかを明確にしてみましょう。
 

以上が一般機で行える代表的な自動飛行のご紹介でした。

一般機の多くはシンプルに空撮を楽しむために設計されていることが多いため、一時的に設定し短距離で行うことがほとんどです。

産業用のドローン

次からは点検や物流で使用が想定されている産業用機体の自動飛行をご紹介していきます。

①自動追尾は搭載していないことが多い
先にご紹介した一般機は空撮で発生する複雑な動きを自動で行うことでパイロットの負担や事故を減少させることが目的の一つです。
対して産業用は大型が多いので直線や緩やかなカーブなど、シンプルな動きで点検や物流をさせることが多いため自動追尾を搭載していないモデルが多いです。
 
②ウェイポイントを用いた自動飛行が多い
先にお伝えしたとおり、産業用機体は自動「追尾」は搭載していないことが多いですが、自動「飛行」を使って作業することが多いです。
一般機でもご紹介したウェイポイントを使って大規模建築物点検や広大な敷地の撮影を行います。
 
③使用アプリは独自の物に
DJI MatriceシリーズやMavic2 ENTERPRISEシリーズは「DJI Pilot」という独自のアプリを使用します。
DJI Pilotの特徴は「自動飛行・赤外線撮影」に特化しています。
使用する端末がAndroidの場合、トップ画面に大きく自動飛行が表示されるため同じルートや正確性が求められる現場向きの機体であることが明らかです。
 
自動飛行以外にもMatriceシリーズはオペレーター2人で操縦とカメラ設定を分担したり、小型機にはないカメラアタッチメントを付け替えられるなど1台あればどんな現場にも応えられる様設計されています。
 
④産業用自動飛行の用途
そんな自動飛行に特化した産業用機体ですが、昨今ではどんな用途で使われているかご紹介します。
A.農薬散布
今までは手作業や操作が難しいヘリコプターを使って農薬散布を行なっていましたが、モーターの数が多くパワフルなため大容量タンクを携帯でき、GPSを用いて完全自動飛行も可能なドローンが続々と導入されています。

追加機材を用意することによりセンチ単位での調整も可能なため、散布のムラを起こすこともなく任せることができます。

B.物流
物流は国が優先して推進している事業のひとつです。
農薬散布同様、大型の機体であれば最大10kg程度まで運搬できますので現状の運送業がより迅速に行えるメリットがあります。

運送に限らず過疎地域や災害時の孤立地帯への物資輸送も可能です。
自動飛行の設定は衛星写真を見ながら行えるので地元消防署など土地勘のある方の協力もあればよりスムーズに作業が可能です。
※物流は「レベル4」と呼ばれる「友人地帯での目視外飛行」に該当するため国から正式な許可がでていません。各社・各自治体が実証実験を行なっている最中となります。
 
C.点検、建設業
自動飛行のみならずドローン活用で一番注目されているのが点検業・建設業です。
自動飛行は広大な敷地かつ定期的な点検が必要な大規模ソーラーパネルや大規模工事現場の撮影を行い進捗管理に用いられることが多いです。

赤外線や測量など、詳細内容は業種により異なりますが、アプリに保存した飛行ルートを使って全く同じルートで正確かつ迅速な作業が可能になります。
日が変わるごとに離着陸地点や詳細設定を行う必要がないため、時間・コストの削減に貢献することができます。
【自動飛行はエンタメにも利用可能】
これらの用途は現状の日本で代表的なものですが、エンタメにももちろん利用可能で2021年夏に行われた東京オリンピック開会式では約1800機のドローンが夜空に模様を描きました。
機体は少々特殊なものですが、アプリだけでなくプログラミングを使った操作も可能ですので、操縦が苦手な方やお子さんでも参加可能な将来性がある分野でもあります。
 
 
以上、今回はドローンの自動飛行でできることをご紹介しました。
2022年末に予定されている航空法改正で「レベル4」=「有人地帯での目視外飛行」の実装が発表されており、それを担当できるパイロットを育成する国家資格化も同時に始まります。
法規制は入りますが、機材に大きな変更はないと予想されますので今のうちから自動飛行に触れておけばパイロットとして活躍の場がさらに広がります。
 
一般機からでも間に合いますので、ぜひ一度自動飛行を体験してみてはいかがでしょうか。

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