ドローンのルール

DJIがアメリカで排除?米国の禁輸対象リストであるエンティティリストに「DJI」が追加

2020年12月にドローン業界に大きな影響を及ぼすニュースが発表されました。
 
アメリカ商務省がDJI社を含む77社をエンティティリスト(禁輸リスト)に加えたことを発表し、これによってDJI社は許可なくアメリカから技術や部品を輸出することが禁止されました。
 
DJI社はドローンメーカーとしてアメリカでもトップシェアを誇る業界最大手でもあり、幅広い影響を与えることが予想されます。
 
今回はアメリカによるDJI社の禁輸リスト追加について、背景や影響などを解説していきます。

1.中国ドローンメーカー「DJI」がアメリカの禁輸対象リストに追加される

2020年12月18日(アメリカ現地時間)、アメリカ商務省はドローンメーカー最大手の中国・DJI社を含む77社の企業・機関を禁輸リストに加えることを発表しました。
 
禁輸リストに追加された77社のうち、ほとんどが中国企業ということで、アメリカの対中圧力がより強化された形になっています。
 
では、今回のDJI社の禁輸リスト追加について、その背景や影響について詳しく見ていきます。

①禁輸リスト追加の背景は?
DJI社が禁輸リストに追加された背景には、主に同社の製品が中国の人権侵害に利用されているという疑いが挙げられています。
 
同じく禁輸リストに追加されたSMIC社(中芯国際集成電路製造)は中国軍に関連していることから同様の措置が取られています。
 
アメリカでは、トランプ政権時に通信機器大手・HUAWEI(ファウェイ)社を禁輸リストに加えたことが大きな話題を集めました。
 
DJI社に関しては、人権弾圧や南シナ海での軍事基地の建設、アメリカ企業の企業秘密の窃取に製品が関わっていたことなどが理由として挙げられています。
 
米中関係の緊張が高まる中で今回の措置もまた、アメリカの中国に対する強硬な姿勢が現れています。
 
②禁輸リスト追加で何ができなくなるのか
アメリカの禁輸リストに追加された企業に対して、アメリカ製品を輸出する際には、商務省の許可が必要となります。
 
ただし、原則として却下する方針でもあるため、実質的には禁輸措置と呼べるでしょう。
 
DJI社は今後、アメリカの技術や部品を用いて製品開発や製造を行うことが難しくなるでしょう。
 
世界中でNo1のシェアを誇っているDJI社にとって、今回の禁輸措置はかなり厳しいものであるとの見方がなされています。
 
③政権交代はどのような影響を及ぼすか?
アメリカ商務省がDJI社などを禁輸リストに追加したのは2020年12月18日のことでした。
 
しかし、大統領選挙において民主党のバイデン氏が次期大統領に就任することが決定したため、トランプ政権時のこの発表に対してどのような姿勢を取るかが注目されています。
 
バイデン大統領に関しては前政権同様に中国に対して強硬な姿勢を貫く方針を示しており、今回の対中圧力は継続することが予想されるでしょう。

2.DJI禁輸リスト追加はアメリカのドローン市場にどんな影響を及ぼすのか

ドローンはアメリカだけでなく、世界中でシェアを獲得している世界最大手のドローンメーカーです。
 
そんな中で発表されたアメリカによる禁輸リストへの追加は、ドローン市場にどのような影響を与えるのでしょうか。
 
ここでは、DJI社の禁輸リスト追加がアメリカ国内のドローン市場にどのような影響を与えるかを解説していきます。
 
①アメリカでもDJIは圧倒的シェアを誇っている
2019年にDrone Indusry Insight社によって発表された「アメリカにおけるドローンメーカーのマーケットシェアTOP10」によると、DJI社は2位以下の他社を大きく引き離してトップシェアを獲得しています。
 
アメリカ国内でのシェアは75%以上となっており、第2位のintel社のシェアが3.7%であることを考えると、DJI社の強大さがよくわかります。
 
アメリカのドローン市場で最も普及しているメーカーでもあり、私用・商用問わず幅広い領域でDJI社製のドローンが使用されています。
 
https://droneii.com/drone-manufacturer-market-shares-dji-leads-the-way-in-the-us
参考記事:英語記事となります
 
②アメリカ国内で使用されているDJI製のドローンは?
今回の措置はDJI社に対して、アメリカの技術や部品といった製品を輸出することを実質的に禁止する措置でもあるため、国内で流通し、使用されているDJI社のドローンについて、直接的な影響を及ぼすことはないと考えられます。
 
しかし、アメリカでは2019年に「American Drone Security Act」が提案され、中国製のドローンの購入や使用を停止する方針が支持されています。
 
中国製のドローンを公共の目的で使用することに対するセキュリティ上の懸念が強まっており、スパイ活動やサイバー攻撃の防止を目的としています。
 
2020年にもその方針は継続されており、アメリカにおいてDJI製ドローンの公共利用の禁止は大きな影響を及ぼすことが考えられます。
 
さらに、今回の禁輸リスト追加もあった中で、公共利用だけでなく、商用利用についても制限が加えられる可能性が考えられるでしょう。
 
③DJI製のドローンを使っている公共機関はどうする?
公共機関や企業、一般ユーザーを含め、DJI社のドローンが多くの場面で使用されているのですが、利用制限が強まる中、代わりとなるメーカーの選択肢が少ないことが問題視されています。
 
DJI社のシェアや競争力が圧倒的であり、代替企業が同様の予算と性能でドローンを提供するのは難しいと見られています。
 
それでもParrotといったヨーロッパメーカーが第一候補としてなり得ると考えられています。

3.日本も例外ではない?国産ドローンの導入が検討されている

アメリカが人権侵害やサイバーセキュリティなどの観点から中国企業を排除する方針を示す中、日本でも安全保障上の観点から国産ドローンの導入を検討し始めています。
 
各省庁が保有している1,000機を超えるドローンについて、高いセキュリティ機能を備えた国産の新機種の導入を視野に入れており、2021年度以降の調達を進めていく見通しです。
 
日本でもサイバー攻撃や情報窃取、機体の乗っ取りといったリスクが懸念されており、国産のドローンにおいても、製造過程で不正プログラムが仕込まれる「サプライチェーン・リスク」が疑われる機種を排除するといった方針を示しています。
 
そんな中で、自律制御システム研究所、ヤマハ発動機、NTTドコモなど5社の連合が、国の委託事業として国産ドローンの開発に着手しています。

4.まとめ

アメリカで発表されたDJI社の禁輸リスト追加措置について解説していきました。
 
米中関係の緊張が高まる中、アメリカでは中国製品の排除が着々と進められており、日本にも影響を及ぼす可能性が考えられます。
 
世界最大手のDJI社がアメリカから排除された結果、ドローン業界にどのような変化が訪れるのか注目です。


当社としてはDJIのドローンを主に販売していますし、練習用機体でもDJIを利用しています。

正直、現時点でDJIを超える性能、コストパフォーマンスを提供できるドローンメーカーはありません。

ですので、国内においてDJIが引き続き活用できることを願っております。

以前にDJIが公開したDJIの工場内動画です(非常に貴重な映像です)!

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