インタビュー

【ドローン未来通信vol.10】西武建設株式会社 二村 憲太郎様

ドローン未来通信では、様々な方に今後のドローンの可能性についてインタビューを行う企画です。
10回目の今回は西武建設株式会社 企画部次長で一般社団法人 日本建築ドローン協会の理事もされている二村 憲太郎(にむら けんたろう)様」にドローン活用や今後のドローンをビジネスで有効活用していくにあたっての課題やドローンスクールに期待されることをお伺いしました。

西武建設様では、2015年よりドローン関連の実験や開発、建築物の点検維持管理、現場の進捗、竣工、測量、災害等の空撮業務を行われています。
「~安全なドローンによる都市部における社会実装に向けて~」をテーマに、新時代の総合建設ドローン事業を目指している会社となります。

2020年3月には、中野区議会議員である加藤たくま様の発案により、国立研究開発法人建築研究所、一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会、西武建設株式会社の3社にて、中野区役所・中野サンプラザにおけるドローンによる点検調査実験を実施されています。

二村様はドローン事業を牽引する立場で、最前線でドローン活用を行われていらっしゃいます。

西部建設株式会社
https://www.seibu-const.co.jp/
ハミングバード鈴木:
1~2年前と最近で、ドローン、またはドローンの活用への印象は変わりましたか? 

二村氏:
ここ2、3年かもしれませんが、目的が段々はっきりしてきて、特に、私が建築土木業界にいるので、普及を目的にしてる部分が大きいですね。つまり、具体的になりつつあります。
一時期は空撮なのか測量なのかよくわからないっていう段階だったと思うんですが、今はもうそれぞれの目的に応じて利用されてきています。

点検するにしても、何の点検なのか、トンネルなのか橋梁なのか、もしくは建物なのか、建物でも色々ありますし、天井裏を点検するのか、外壁であったとしてもタイルの点検をするのかサイディングなのか、色々な種類の点検がありますから、それによって機体が変わってくるだとか、技術が変わってくる、というような違いになってきていますね。
これはもうどんどん先鋭化されていくはずなので、新しい分野を見つけるというよりは、そういった所を研ぎ澄ましていく方向になっていくのではないかという風に思います。
ハミングバード鈴木:
現在、西武建設様の現場では、ドローンがどのように活用されているでしょうか? 

二村氏:
弊社は、測量は各現場で行っていまして、phantom(DJI社製の機体)とかそういうものは、現場単位で飛ばしています。測量というよりは空撮ですね。
後は、点検関係ですが、建物の点検で言うと弊社は製品を作っていまして、その製品のための実証実験というのがほとんどを占めていまして、業務ではそれほどやっていないという所です。
災害協定も結んでいまして、大きな所と取り組んでいてかなり本気でやっています。
国交省の荒川下流河川事務所とやっています。
もしここで災害が起こると、東京の下町が壊滅しかねない位置なので、責任重大であると認識して、そこに注力しています。
ハミングバード鈴木:
西武建設様及び建設業界では今後ドローンについて、どのような取り組みの可能性がありますか?
また、ドローンがより多くの現場で利用されるために、どういった事が必要となるとお考えですか? 

二村氏:
西武建設としては、大きく分けて二つございます。
一つは「吹付ドローン」というのを開発してます。
2015年から開発が始まりまして、コンクリート表面含浸材という種類のコンクリートを補強する材料や、融雪剤や遮光材といった、無色透明の物が多いんですが、そういった物を吹き付けるんですが、そろそろ最後の機体が出来上がる状態まで来ています。

もう一つは「ラインドローンシステム」というのを作っていまして、建築がメインにはなるんですが、ビルの屋上と地上を釣り糸のようなもので係留しまして、その間をドローンが飛ぶというものです。
2020年11月から発売開始していまして、ようやく形になったなあという思いです。
その二つが、今、大きな二本柱といった所です。
 
他には、私が現場で長くやってきて、特に測量が始まった時に色々感じたんですが、パイロットの職にならなくてはいけないということです。
飛ばすだけが目的なのではなくて、それによって職業を得なくてはいけないということで、そのためには、単価をある程度の水準に保たないと、一回飛ばして2,3万円という程度ではやっていけない。
私の理想は一回飛ばして20万円くらいなんですが、そこにはパイロットのランク付けのようなものがないといけない。

特に建物点検で、緊急時に咄嗟の判断ができるようになるには、相当なトレーニングを積まないと厳しい、まあ、機体の性能が上がれば補助してくれる部分もあるかもしれませんが、そうは言っても安全を第一に考えた場合、ランキング制がまずあって、高ランクのパイロットが高い報酬を得られるシステムがなければいけないと思います。

この業界は、みんなができる車の運転とは違うと思うんですよ。
例えばダンプトラックを運転するには、それなりの免許が必要ですし、バスもそうです。
もっと言えばF1の車両に普通の人は乗れない訳ですよね。

今のドローンスクールを批判する訳ではないですが、さらに進化させて、ドローンでお金を得るためのスクールを作ることが必要なんじゃないかと思います。
一番ダメだったのは測量で、単価が低水準に決まってしまって、今は誰もやりたがりません。

始まった当初は画期的な技術で、一つの現場でそれなりの収入が得られるはずだったんですよ。
今では全然下がってしまって、誰もやりたがらない、副業で少しやっている人がいる程度です。
本来は労働者側の権利として、ある程度の利益を確保しないと、業界が衰退します。

「市販の機体で測量できますよ」みたいなことになったのは良くなかったと思います。
なので、建物点検も、「安くできます」みたいなダンピング競争してはいけないので、価格水準を保つために、安全をベースに、高い技術を持ったパイロットでなければできないということを周知することが大事だと思います。
ハミングバード鈴木:
今後ドローンスクールに期待されることを 教えてください。

二村氏:
裾野を広げるという意味では、今のやり方でいいと思いますが、先ほど言ったように、ランク、階級を分けて、本当に腕のいいパイロットを育てるということが必要ではないでしょうか。
市販機を3日飛ばしてパイロットですって言っても、オートマの軽自動車が運転できるのと同じだと思うので、それとは違うやり方を構築して欲しいと思います。

後は、ゼネコンの視点から言いますと、ドローン企業に業務をお願いする時に、パイロットの技量が良く分からないんですよ。
どこにお願いしようかなっていう時に、口コミに頼るしかないんですよね。
彼は上手だよ、レースにも出ていてみたいな人に頼むことが多いんですけど、その辺りを、先ほどのランキング制みたいな感じで分かりやすくなると、頼みやすいですよね。

現状は裾野を広げる方向性ですけど、仕事として発注する場合、安いからここにしようというのは最悪なので、パイロットの技量が明確になると、仕事としての利用が広がると思います。
機体の性能による部分も大きいとは思いますが、機体の性能によらない部分というのは確実にあって、それを判断するには、裾野の1階部分に対する2階の部分が必要だと感じています。

先程の例のように、自動車のオートマに始まって、大型、特殊、2種のような細分化、職業用のドローンスクールと一般的なものを分けて、趣味の範囲と職業用を分けていけるといいですね。

ハミングバード鈴木:
我々ではそこを意識して、F450というセンサーもついていない機体で講習しております。

二村氏:
通ですね。その機体は見たことしかないですね。

ハミングバード鈴木:
趣味の方でも、しっかりとした技術を身に付けていただいていますし、その上の専門コースで、更なる技術を磨いていただけるように意識しています。
技術レベルについては仰る通りですね。
我々の方でも技術レベルが分かるようの仕組みを検討していきたいと思います。

本日は貴重なお話ありがとうございました。
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