ノウハウ

【保存版】ドローン外壁点検の現場で求められる「実戦的操縦技術」と「安全管理」

近年、建築基準法第12条に基づく定期報告制度において、ドローンを活用した赤外線調査への注目が急激に高まっています。
足場を組む必要がなく、低コストかつ短期間で調査が完了することから、マンション管理組合やビルオーナーからの需要が増え続けているのです。

しかし、実際に現場で通用する「点検パイロット」になるためには、単にドローンを飛ばせるだけでは不十分です。
建物の壁面というシビアな環境下で、正確なデータを取得するための高度な操縦技術と知識が求められます。

今回は、実際の点検現場で必須となる「壁面点検の実践テクニック」や、可視光だけでなく「赤外線撮影時の重要ポイント」について、具体的に解説していきます。

1. 外壁点検における「距離感」

ドローン点検で最も重要な要素の一つが、「対象物との距離(離隔)の維持」です。

●解析精度を決める「一定距離」のキープ
 
外壁のひび割れ(クラック)やタイルの浮きを正確に検出するためには、ドローンと壁面との距離を適正な距離に保つ必要があります。
一般的に、可視光カメラで0.2mm幅のクラックを判別するには、0壁面から数メートル以内の至近距離で撮影する必要がありますが、この「距離」がブレると、後工程の解析作業で大きな支障をきたします。
 
近づきすぎた場合: 衝突のリスクが高まるだけでなく、画角が狭まり撮影枚数が膨大になる。
離れすぎた場合: 解像度が不足し、微細な損傷を見落とす(検出不能となる)。
 
現場では、風の影響を受けながらも、機体を壁面に対して平行に正対させ、一定の距離を保ったまま水平・垂直に移動させる「面」の動きが求められます。
これはGPS(GNSS)制御が入っていても、壁際特有の気流の乱れがあるため、パイロットによる微細な当て舵(修正操作)が不可欠な技術です。

2. 鮮明なデータを撮るための「カメラワーク」と「速度管理」

点検業務の成果物は「写真(または画像)」です。
どんなに飛行がうまくても、写真がブレていたり、損傷箇所が写っていなければ仕事としては失敗です。

●「ブレない」ための速度コントロール

撮影中は、シャッタースピードと機体の移動速度のバランスが重要です。
早く終わらせようと移動速度を上げすぎると、画像にモーションブラー(ブレ)が発生し、クラックが滲んで見えなくなってしまいます。
プロのパイロットは、「人間が歩くよりも遅い速度」で、かつ「等速」で移動し続けます。
ゆっくりと、しかし止まることなく滑らかに動くことで、効率的かつ高品質なデータを収集します。

●角度(チルト)の調整と死角の排除

外壁には、配管や看板、庇(ひさし)などの突起物が多数存在します。
これらをかわしながら撮影するのはもちろんですが、重要なのは「カメラのアングル」です。
 
単に正面から撮るだけでなく、タイルの浮きなどは光の当たり方や角度によって見え方が変わります。
状況に応じてジンバル(カメラの角度)を微調整し、損傷箇所が最も明確に写る角度を探る視点も必要です。
 

3. 「見えない異常」を可視化する赤外線カメラ

今回の記事で特に強調したいのが、近年主流となっている「赤外線(サーモグラフィ)カメラ」を用いた点検技術です。
赤外線調査は、タイルの「浮き」部分と「健全部」の温度差を可視化することで異常を発見しますが、ただ赤外線カメラで撮れば良いというわけではありません。
 
●太陽の位置と「撮影タイミング」の見極め
 
赤外線調査は、太陽光によって外壁が温められる(または冷める)際の温度変化を利用します。
そのため、パイロットは操縦技術だけでなく、「環境を読む力」が不可欠です。
 
日照条件: 壁面に十分な日射が当たっているか?
時間帯: 気温が変化しやすい午前中や夕方など、温度差が出やすいタイミングを狙えているか?

天候判断: 曇りや雨天時は温度差が出ないため、勇気を持って「中止・延期」を判断できるか?
これらを考慮せず漫然と撮影しても、解析不能な真っ暗(または真っ白)な画像しか撮れず、現場が無駄になってしまいます。

●「反射」を防ぐアングル設定

赤外線カメラは「熱」だけでなく、ガラスや光沢のある壁面では周囲の風景や「太陽光」を反射してしまう特性があります。
真正面(90度)から撮影すると、パイロット自身やドローンの熱が反射して映り込んだり、太陽の反射熱を「異常発熱」と誤認したりするリスクがあります。
プロの現場では、正確な温度データを取得するために、真正面からあえて少し角度をつけて撮影するといった、可視光カメラとは異なる高度なアングル調整技術を駆使しています。
 

4. 最も恐れるべき「GPSロスト」と「ビル風」への対処

建物の近くを飛行させる際、最大のリスクとなるのが電波障害と風です。
 
●壁際でのGPS精度の低下
 
コンクリートの建物、特に高い建物の壁際では、上空の視界が遮られるため、GPS(GNSS)の受信数が減少し、機体の位置制御が不安定になることがあります。
さらに「マルチパス(電波の反射)」の影響で、ドローンが自分の位置を誤認識し、予期せぬ挙動を起こすリスクもあります。
 
現場で活躍するパイロットは、GPSに頼りきった飛行だけでなく、GPSが効かない状況でも手動でホバリングや制御ができる「ATTIモード」相当の操縦スキルを必ず習得しています。
いつセンサーが切れても、即座に手動で体勢を立て直せる技術こそが、安全の最後の砦となります。

●予期せぬ「ビル風」
 
建物の角や谷間では、局地的な突風(ビル風)が発生します。
地上では無風でも、高度を上げると強風が吹いていることは珍しくありません。
特に建物のコーナー(角)を回る瞬間は、風向きが急変しやすいため、機体が流されないよう細心の注意を払う必要があります。
 

5. チーム連携:パイロットと補助者の役割

点検業務は、決してパイロット一人で行うものではありません。必ず「補助者(安全監視員)」とチームを組んで行います。
パイロットはモニターの映像(撮影画角や数値)に集中する時間が長くなるため、機体と建物との距離感や、周囲の障害物(電線、街路樹、鳥など)への注意が疎かになりがちです。
 
そこで補助者が、別の角度から機体を目視し、

「壁まであと1メートル!」
「右側、電線注意!」
「風が出てきた、一度待機!」

といった声をリアルタイムでかけ続けます。
この「阿吽の呼吸」による連携が、接触事故を防ぎ、スムーズな点検を実現します。

6. ドローン点検を仕事にするために必要なこと

ドローンによる外壁点検は、今後さらに法整備が進み、標準的な点検手法として定着していくでしょう。
しかし、それは「誰でも簡単にできる」という意味ではありません。

・正確無比な操縦技術(GPSなしでも安定して飛ばせる腕)
・赤外線解析に関する知識(温度差が生まれるメカニズムの理解)
・徹底した安全管理意識(リスクを予見し回避する力)

これらが揃って初めて、プロの点検パイロットとして現場に立つことができます。
ドローンスクール東京では、資格取得だけでなく、こうした「現場で使える実務的な技術」にフォーカスした講習や、卒業生へのサポートを強化しています。
 
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